農家が丹精を込めて作った物を収穫直前に泥棒をする連中はやはり農家だろう。ニュースで盗まれたという被害はよく報じられるが、捕まったというニュースは流れてこない。おそらく捕まらないからだろう。
この泥棒たちは作物の成長過程で盗むのではなく、収穫直前のぎりぎりのところで掻っ攫っていく。カラスと同じである。作物の目利きであるのと、農家の人が絶対に来ないタイミングをよく熟知しているという事は、自分も農家なんだろうと思う。
さらに農家は自分の家の前が農地であるだけでなく、意外と遠くにも農地を借りている。盗む方はその辺のことも良く知っているかのように、あまりにも大胆に堂々と盗んでいく。夜にライトを照らしながらコソコソすると怪しまれるので、昼間にトラックを横付けしてさも自分の作物の収穫のような装いでみんな盗っていくのだろう。だから絶対に農家にしか出来ないし、状況をよく把握した近隣の人ではないかと思う。
日本では農家の暮らしを保障する制度は無く(ヨーロッパには最低年収を保障している国が多い)、ぎりぎりの収入でやっているのに、その年の収入がなくなるというのは翌年農業を続けるか否かの大きな問題だろうと思う。
先日、埼玉県有機農業会の副会長(桶川市の中村さん)が、9人もの研修生を雇用して大面積で農業をされているので、泥棒対策は何かしているか尋ねたところ、答えは「まったくしていない、する必要もない」という事でした。自信たっぷりに言われるので詳しく聞いてみると、「自分が正しいことをしていれば神様が絶対に守ってくれる、儲けの事ばかり考えてはいけない、消費者の健康やおサイフのことも考えられないようではダメだ」という事でした。以前に10万円が入った財布をなくした事があったそうで、その時は自分の「想い」がとても悪く、それを反省(稼ぎに走った)するためにそうなった、と受け止めたそうです。また研修生が農業機械の扱いが悪く、壊してしまった時も自分が反省するそうです。
そして、農業倉庫にも収穫物や資材やコンバインなどたくさんあるのですが、鍵を開けたり締めたり面倒なので絶対に鍵をかけないそうです。しかも自宅にも・・・。「そんな物騒な」と私が言うと、「正しい事を思い、正しい行いをしていれば神様が守ってくれる。盗られたらまた反省するだけだ」とアサッリと言ってのけられてしまいました。
前回のこのブログの記事の「おむすびとおにぎりの違い」でも神様が出てきましたが、やはりスピリチュアルな精神性を求めるということは目に見えないそこに行き着くのでしょうね。とても胸がスカッとするようなお話でした。(^.^)
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