在宅緩和治療のススメ
実は私の母が2月に亡くなりました。癌でした。母は父のように(すでに他界)病院で延命治療や抗がん剤治療を受けるのは嫌だと言って、東京の自宅から埼玉の私の家で在宅看護をしてもらうため引っ越してきました。病院はキリスト教系のホスピス、中島医院(入院施設なし、在宅と外来のみ)にお願いしました。入院型ホスピスは全国的にベッド数が足りないため、入院できませんでした。しかし、これが幸をそうして母を自宅で家族全員で看取ることが出来ました(合掌)。
緩和治療では抗がん剤を使わずに痛み止めを使い、癌の進行を抑制する事はしません。延命治療ではないので、治すか、静かに本人も家族も死を迎えるかのどちらかになります。母は下の世話までしてもらいながら行き続ける気はないと尊厳死を選びました。緩和治療は、病人の生涯のクオリティを最後まで維持するものです。日本は世界一の長寿国ですが、寝たきり世界一でもあるので、健康長寿ではありません。
中島医院から一般病院と違って亡くなる時は、様態が悪くなってから2日から7回以内に死期が訪れますと最初から言われていました。実際に様態が変わってから2日後に亡くなりました。つまり、トイレに自分で行けなくなったり食事が出来なくなったのは最後の2日間だけでほとんど苦しまずにいきました。死を迎える数時間前、孫たちが学校や幼稚園から早引けで(先生に連れられて)帰ってきてみんなで母を看取りました。なんて素敵な最後なのだろうと思いました。小学生の息子はそのときは緊張していましたが、夜は気持ちが高ぶってきて大泣きしていました。(ちなみに延命治療の場合、「危ない」と言われても持ち直す場合が多いので、何度も病院をいったりきたりします。)
私は思いました。自分で食べられなかったり(動物の場合死を意味する)、トイレへいけなくなったら生への執着を捨てて母のようにあの世へ旅立たせてもらおうと・・・。
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